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私にとってラグビーとは #03(1) – WOMEN’S RUGBY COMMUNITY

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伊藤絵美さん

PEARLS チームマネージャー

三重県を拠点に活動する女子ラグビーチーム『PEARLS(パールズ)』チームマネージャーの伊藤絵美さんの3部構成のコラム。社会人になって女子ラグビーと出会い、気が付けばチームスタッフを任されるほどどっぷり。そんな伊藤さんにとってラグビーとはどんな存在か。#3(1)ではMIE WOMEN’S RUGBY FOOTBALL CLUB PEARLSの立ち上げを振り返ります。

MIE WOMEN’S RUGBY FOOTBALL CLUB PEARLS

2015年。セブンズ日本代表でのチャレンジを終えた私は、生まれ故郷である三重県にラグビーチームを作ることになりました。

私にラグビーをするきっかけをくれた斎藤先生はチームのゼネラルマネージャー(GM)として、そして私は選手でキャプテンとして、二人三脚で『MIE WOMEN’S RUGBY FOOTBALL CLUB PEARLS(以下、PEARLS)』のチーム作りをスタートさせました。

選手勧誘に奮闘しましたが、2016年の創設初年度にPEARLSのトップチーム選手として登録された選手はわずか7名。

(山本さやか、大島千佳、林 明里、齊藤聖奈、玉井希絵、山中侑香、伊藤絵美の7名)

創設初年度トップチームのメンバー7名

近隣の朝明高校の女子選手たちやスクールで活動するジュニア選手たちに参加してもらわないと練習が成り立たない状況でした。

(この時ジュニア選手だった和田萌里、三谷咲月、高橋芽生は今PEARLSトップチーム選手として現在も所属。宝物たちです)

上手く軌道に乗るかも分からない新しいチームPEARLSの未来を信じて加入してくれた当時のメンバーには感謝してもしきれません。

ものすごい覚悟だったと思います。

初年度監督の記虎敏和先生の存在は、私に大きな影響を与えてくれました。

TWSS富士山御殿場裾野大会にて快晴の富士山と記虎監督

中心選手も若手選手も関係なく、一貫した愛を持ってコーチングをされる記虎先生が大好きでした。先生の背中を見て、自分も引退後にチームに関わる時は、先生のように『チーム全員に愛を持った関わりをしたい』と強く思うようになりました。

それは今の私自身のチームマネジメントの理念になっています。

『大好きな記虎先生と、このメンバーの期待を絶対裏切らない。自分がキャプテンを務める2年以内に絶対に結果を出す!そしてPEARLSに来て良かったとこの子たちに思わせてあげたい。』

日本一を強く心に誓って日々、トレーニングに明け暮れていました。

そして迎えた2年目のシーズン。

2017年の太陽生命シリーズ第4戦富士山裾野御殿場大会にて、PEARLSは奇跡を起こします。

当時まだコアチームでは無く、招待チームとして最終戦のみの参戦となったPEARLSは初出場ながら初優勝、日本一を達成したのです。

初出場初優勝表彰式後のチーム写真

当時、日本一になることを日々強く意識しながらトレーニングをしていたメンバー以外は誰も想像しなかった結末だったのではないでしょうか。

しかし、私たちが1番欲しかった結果は『日本一』という順位では無かったように個人的には感じています。

PEARLSは新しいチームで認知度もまだまだ低く結果も出ていませんでした。当時どれだけ選手勧誘をしても三重県の田舎までラグビーをしに来てくれる選手たちは本当に少なく、何度も悔しい思いをしていました。

『皆さん見てください。私たちがPEARLSです。三重県のチームです。これがPEARLSのラグビーです。私たちも仲間に入れてください!!女子ラグビー最高ですよね!』

世間の皆さんや、対戦相手や日本ラグビーフットボール協会、ラグビー関係者の皆さん、女子ラグビーファンの方々、全国のジュニア選手たちに対し、この思いを伝えたい一心だったような気がしています。

そして、私自身キャプテンとして必ず優勝して、選手たちを幸せにしたかった。

なぜなら、みんなにPEARLSに来てくれた感謝がいつも心にあったから。

目先の結果だけではなく、仲間のために、支えてくださる方のためにとそれぞれが他者を思う強い気持ちが、初出場初優勝という結果に結びついたのだと感じた瞬間でした。

一生忘れることのない仲間たちからの胴上げ

当時の選手たち、一緒に練習してくれていたジュニア選手たちに『PEARLSに来て良かった。PEARLS最高!』と思わせることが出来ていたとしたら、それは私にとってこの上ない幸せです。

ここをターニングポイントに、今やPEARLSは全国、そして世界中から選手が集まるクラブになりました。

PEARLSには、チームが大切にしている理念があります。

『ラグビーを通じて元気、勇気、感動を与え、PEARLSに縁のある全ての人々を幸福へと導く。』

この理念の根底にあるのは、

『人を大切にすること』

初代監督の記虎先生や斎藤GMが長年、教師という立場で沢山の生徒たちを大切に育てあげてきた経験から『人を大切にすること』を私たちに教えてくださいました。

地域を大切にし、ファンやスポンサーを大切にし、チームを大切にし、そして仲間を大切にすることが私たちの行動理念です。

この思いは今もチームに脈々と受け継がれています。この思いを引き継いだ選手たちが、全国からまた大切な仲間を連れてきてくれる。外国人選手たちが『PEARLSでまたプレーしたい』と戻って来てくれる。

現在のジャンナヘッドコーチは選手としてPEALSで4シーズンプレーし、現役引退後指導者としてチームに戻って来てくれました。

PEARLSのカルチャーも、良い時も苦しい時も数々の経験を経て全てを知るジャンナが、PEARLSのことを母国・ニュージーランドで仲間たちに話し、それを粋に感じた世界一のキャプテン、サラ・ヒリニ選手が2023シーズンはPEARLSに来てプレーしてくれました。

ファンや家族への試合後の挨拶 チームカルチャーを忘れない

『人が人を呼び、つながっていく』国境を越えてPEALSの理念やカルチャーが共感を呼び、沢山の選択肢の中から、PEARLSという組織を選びファミリーとなる仲間たちって、本当に奇跡のような存在です。

そんな出会いに『心から感謝』したいです。

文:伊藤絵美